感染症の海外ニュースと解説
ワクチン接種義務化問題(その2)
COVID-19対策怠慢 フランス国民が保健相を提訴
2021/09/15


                ニャチャン(ベトナム)のパスツール研究所(病院)



1. ワクチン接種義務化が英米仏で拡がる

2. 日本の非接種者群の核となっている人々
3. 利益至上主義のワクチン製造企業への不信感

4 .日本は非接種者にどう対応するべきか
5. COVID-19対策怠慢でフランス国民が保健相を提訴
6. 保健相となったアニエス・ビュザン教授とは
 wiki
 アニエス・ビュザン博士(元保健相)

1. ワクチン接種義務化が英米仏で拡がる
米国のバイデン大統領が従業員100人以上のすべての企業や
連邦職員に対しワクチン接種か、週1回以上の検査による陰性証明の
提出を義務付けるよう米労働省に命令し、
フランス議会は7月26日に衛生危機関連法案を可決。
8月9日から飲食店、映画館、列車は「衛生パス」が必要となりました。

いずれも収束傾向が顕著だった新ウィルス感染拡大が、再燃しているにも
関わらず、ワクチン接種済み率が伸び悩んでいるから。
英国でも同様な動きがありましたが、反対が強く、断念したようです。
 
日本では政府がそれを真似ようとする動きがあり、ワクチン接種済み
証明書や検査済み証明書の提示を求める施設を拡大する動きが進んでいます。
日本の場合は被接種者に選択権があることが法で明確に決められていますが、
外国を真似た各種証明書類の提示を求めることは、ワクチン接種を
形を変えて、実質的に義務化するに等しいといえます。
 
ワクチン後進国が先進国に追従するのは已むを得ませんが、日本の感染状況は
全くといってよいほど異なります。
日本は、欧米とは人口、人口密度、国土面積、島国など、環境が大きく異なり、
民族も遺伝子的に全く異質だからです。
 
すでに4,100万人が感染し、死者が66万人を超えた米国。
720万人の感染者に13万人超の死者の英国
700万人弱の感染者に11万人強の死者のフランス。
 
較べて、日本は約160万人の感染者に1万6千人の死者。
差は歴然、当然のことながら独自の対策を考えねばならないのです。

特に新規感染の大半を占めているラムダ株は免疫逃避型の多重ウィルス。
ラムダ株やラムダ株プラス、ミュー株などは東アジア人が感染し易い
アミノ酸変異株が多重されていますから、この点でも対策は変えねばなりません。
ワクチンだけでは防ぎようがないからです。
ワクチン販売量を増やしたいビッグファーマを持つ英米独の接種促進策に
惑わされるべきではありません。
 
為政者、行政責任者の責任の取り方も欧米とは大きく異なります。
結果に対しての責任所在を意図的に不明にしている日本の行政では
開発後の歴史が浅く、安全性が担保されていない緊急承認の新方式ワクチン接種を
義務化することは不可能です。

ワクチン接種義務化問題(その1)では政権が独走する危険性の説明に
90年前の太平洋戦争時の独善的政治を現在の政治とを比較して
引用しましたが、実際にはウィルス戦争とは、背景の事情が異なります。

戦時下ならば愛する国、愛する人のために命を賭するケースがありますが
平和時のワクチ接種は健常者がウィルス感染予防のために接種するもので、
安全性が第一。
癌などで死の淵に遭遇する状況で使用する医薬品とは異なります。
 
シリーズの主旨は
「いかなる環境下であっても人の命に関わることを他人が強制することは出来ない」
ということ。
ワクチン接種の可否は他人に強制されるものではなく、被接種者が
自身の責任で熟慮する必要があります。
そのためにはワクチン供給に関与するメーカーや医療者、行政責任者が
ワクチン接種に関わる全ての情報を隠ぺい、粉飾することなく被接種者に
伝えなければなりません。
被接種者が自己責任で可否を判断しなければならないからです。
 
巻末に記したフランス国民が保健相を告訴したケースのように、
為政者や
行政責任者が国民を護る対策を講じず、加えて、情報の隠ぺい、粉飾をすれば、
刑事告訴を可能にする社会構造を作り上げる世論を期待したいものです。
 
2. 日本の非接種者群の核となっている人々
日本で非接種者群の核となっている*35%ぐらいの国民のメジャーは、
「医薬品製造会社、大病院、医療行政、これらに従事する医師、
大学や研究所の医学研究者」に不信感を持つ有識人層といわれます。

薬害、誤診、院内感染の被害を被った国民はどこの国にも無数に存在し、
行政のプロパガンダに密かに加担する医師、医学者の存在、
大学や研究所スタッフの実験データねつ造論文、補助金の不正使用、
他人の研究論文のパクリなど、「白い巨塔」では、あり得ないことが
日常茶飯事に発生しています。

もう一つのグループは有機化学工業が急発展した1950年代ごろからの
半世紀に、製造業、建設業、加工食品業などに従事した人々。
仕様書不正記載、指定使用材料の不正変更、検査データ偽造など
様々な不正を、企業の内外で経験し、監督官庁とのなれ合い、
癒着の構造行動などを歴史的に学んでいる人たちです。
自動車のエアバッグ製造や、高層住宅建築に使用された
耐震ゴムの性能データなど大惨事になりかねない不正も
珍しくありません。
(*エッセンシャル・ワーカーが含まれますから接種済者統計とは異なります)
 
接種済み者には、自分だけ無事では申し訳ない、死の可能性があるならば
共有すべきと考える人も多いと思いますが、体質には大きな個人差が
ありますから、自分は遺伝的に、接種による死の可能性が高いのではと、
考える人も少なくありません。
現状は自己責任で接種するわけですから、接種を拒絶する人を、
戦時下のように非国民扱いし、様々な不便を課してはいけないでしょう
 
3. 利益至上主義のワクチン製造企業への不信感
連日、ヒステリックなまでのバイデン大統領の
ワクチン非接種者約1億人への怒りの演説が報道されますが、
多くの先進国では62%くらいで接種率が伸び悩む傾向があるようです。
ワクチン開発、製造で世界をリードするドイツ、アメリカが
中心となってワクチン接種による集団免疫獲得を強調しています。
バイデン大統領などの指導者や、米国産ワクチンに依存する日本政府が
大々的なワクチン接種促進プロパガンダを発すれば、発するほど
非接種者の「何のための接種」「誰のための接種」との疑義が深まるばかりでしょう。
 
ワクチン製造会社は2020年の緊急承認後に
「要望があるから市場に出すが、事故の一切の責任は買い手。補償はできません」と、
安全性に疑義があることを認めて、免責を得ています。
兆円単位の望外な利益を得ているワクチン製造企業が発信するデータを
信頼できない非接種者のグループがあるのは至極当然でしょう。
 
4. 日本は非接種者にどう対応するべきか
日本の水際防疫体制は昨年2020年の7月を境に崩れました。
この時の政策でワクチン接種がオールマイティーでは無くなったのです
オリンピック開催の強行とGoToなどの実施は
激しい人流と三密を招き、防疫とは逆行しています。
 
以来、歯止めが効かなくなったウィルスの変異と拡大が始まりましたが、
手遅れ状態では、「ワクチン接種数を70%以上にすれば集団免疫が
得られる」という古典的手法は通じません。

ウィルス変異が多重化して行けばワクチンは無力化し続けます。
この時の政策の誤りを国民におしつけるべきではありません。

ワクチンパスポート、接種証明書、有料の検査証明書などは日本が
法で禁じているワクチンの接種強制と同様です。
すでに接種率は児童や少年を除けば60から80%。
米国を超えたと、おかしな自慢をしているくらい。
 
日本人の若い経済学者が、ワクチン未接種者の全てが感染し終わるまで
ウィルス蔓延が終息しないとの、胸腺免疫力を無視している
乱暴な論文を発表。
ウィルスもワクチンも、その機能が不明点だらけの現状で
「全ての疑問にお答えします」などの著書を堂々と出版する有名国立大学教授。
これらは政府のプロパガンダの一環なのでしょうが、有識者層の疑義を
煽る(あおる)ばかりでしょう。
行政はワクチン接種率を8~9割にすれば終息すると、本気で
考えているようで、国の毎日の関心はそれだけです。
 
日本の現状ではワクチンだけで終息させるのは手遅れ。
ワクチンは中和抗体が非常に短命のようですから、免疫逃避多重ウィルスが
主役となりつつある現状で集団免疫を求めるのは無理でしょう。

集団免疫の獲得には自然免疫強化でウィルスと戦える人を増やし、軽
症、重症の感染者が獲得する免疫力を生かすしか手段が無いでしょう。

現時点では超高価な点滴治療薬が有りますが、安全性が高いとはいえ誰もが使用できるわけでは
ありません。
https://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=742
「モノクローナル抗体のCOVID-19治療薬」

2022年には出現すると期待されている服用可能な治療薬はタミフルのような
作用機序を持ち安価といわれます。
安全性が高いために、感染による免疫獲得者が増える時期の安全弁となるでしょう。

三密回避は今後も続く最大の対策。そのためにも、外出、会食ができる
低所得層向けの国営のアウトドア施設作りに励むべきです(原資だけ国家負担)
外出自粛、三密回避を強いられている国民は受け皿が無ければ実行が困難です。
 
5. COVID-19対策怠慢でフランス国民が保健相を提訴
フランスではウィルスの脅威を軽視した
アニエス・ビュザン(Agnes Buzyn)保健相の失政が問われ
て訴訟が起きています。
ビュザン保健相は医学界、医療行政界のスーパー・スターとして
国民の誰もが知る超エリート。
新コロナウィルス感染症COVID-19のオーバーシュートが
中国・武漢(Wuhan)で明らかになった当初の2020年初めに
医療行政の最高責任者である保健相が
(意図的だったといわれていますが)
国民にウィルスの脅威とは真逆の(安全)演説をしていたと言われます。
「新型ウィルスがフランスに持ち込まれる恐れも、感染する可能性も
ほとんど無い」と公的に断言していました。
ところがオフレコの場では「正体不明で途方もなく恐ろしいウィルス」だと
認識していたと言われています。
 
フランスは現在までに約700万人が感染し、約12万人が死亡していますが
昨年2020年初よりCOVID-19対策行政を巡って幾つもの提訴があります。
今回の共和国法院(CJR)の特別法廷では
保健相としてCOVID-19対策を怠り、
多数の国民の生命を危険にさらした未必の故意
endangering the lives of others」が糾弾されており
9月10日に予審が開始されました。
必要あれば当時のフィリップ首相、ベルベ法相、カスタネ―ル内相、
ヴェラン現保健相なども召喚されるといわれ、
結果によってはマクロン政権を揺るがすのではと話題となっています。
 
6. 保健相となったアニエス・ビュザン教授とは
アニエス・ビュザン博士は1962年生まれの60才。
両親はホロコースト(Holocaust )から逃れたユダヤ系移民。
パリ第五大学(*Paris-V)を卒業し教授となりました。
血液学(hematology)を筆頭にがん(がん)免疫学や生体組織移植などの
研究でも知られている著名な医学者。
2008年から2016年は、がん(癌)の専門家として放射線安全問題の委員会、
原子力エネルギー関連委員会など幾つもの政府組織のリーダーとして活躍。
2017年にエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領
が創立した*「共和国前進」党に所属。
フィリップ( Édouard Philippe)内閣の保健相として政界入りしました。
保健相としては*G7 保健相会議のホステスを務めるなどで活躍。
フランスはアフリカ、東南アジアに広大な植民地を持つ(持っていた)ために、
広域感染症対策に関心が高い国民。
パスツール博士の遺産であるパスツール研究所と病院は今でも各地でフランス人の
拠り所となっています。

               ニャチャン(ベトナム)のパスツール研究所
 
ビュザン博士が結婚したのは同様にホロコーストで移民した一族で
カサブランカ生まれのイブ・レェビー博士(Dr.Yves Lévy )
臨床免疫学や癌研究の医学者。
レェビー博士は2014年から2018年に国立衛生医学研究所長(*NSERM)を
務めており、これが後に問題となりました。
保健省の管轄下だからです。
 
COVID-19感染拡大が世界的に始まった2月にはその対応を期待されていましたが
2020年のパリ市長(Mayor of Paris)選挙に出馬するからと保健相を突然辞任。
国民からは無責任さを非難されていました。
* Paris-V( Paris Descartes University
*INSERM:the French National Institute of Health and Medical Research
(Institut national de la santé et de la recherche médicale)
*保健相:Minister of Solidarity and Health(Ministre des Solidarités et de la Santé)
*共和国前進党:La République En Marche! (LREM)
*G7 保健相会議:Ministers of Health meeting in Paris
 
有識人はワクチン知識も豊富ですが、移民が非公式には20%を
占めるようになった近年は、国全体としては医学知識に無関心な国民が
メジャーなのでしょう。
有識者には英米仏のビッグファーマの影が透けるワクチン接種義務化には
疑義を持つ人も多いと言われますが、新コロナワクチンの接種率は高いほうです。
いずれにせよ接種率が65%までの壁があるでしょう。
アメリカ合衆国やドイツがヒステリックにワクチン総接種を目指すことには否定的
義務化には10~20万人以上が参加する暴動まで起きている反対活動が活発です
 
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http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=123


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