ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)
第百十七話:「信州のお国自慢・蕎麦」
2020/09/20
江戸時代から信州のお国自慢は、善光寺と信州そばであったようですが、
淡白な蕎麦は信州を代表する味覚として、殊に「戸隠そば」や「更科そば」は全国的に有名ですが、
そればかりではなく、その花は信州の自然に無くてはならない景観となってきました。
信濃柏原出身の一茶は、さすがにお国自慢の蕎麦に纏わる名句を残しております。
    信濃では月と仏とおらが蕎麦      小林一茶
    
    初秋信州の高原地帯には、蕎麦の純白の花盛りが美しく、花の一つ一つは小さいけれど、
一面に無数の花をつけ、白い絨毯を敷いたように見えるさまは、大変豪華な景観です。
ライトグリーンの葉、赤い茎と白い花のコントラストは、見事な色の調和をなして食欲の秋を
告げてくれるのです。

    山畠やそばの白さもぞっとする     小林一茶
    蕎麦はまだ花でもてなす山路かな    松尾芭蕉
    山畑や煙のうへのそばの花       与謝蕪村
   
    蕎麦は、夏蕎麦と秋蕎麦があるようですが、後者の方が収穫量も多く、美味なので、
もっぱら秋蕎麦が主として栽培されているようです。
明治初年迄一万ヘクタールもあった信州の蕎麦耕作地は、現在十分の一の一千ヘクタールに
減ってしまったのは、戸隠や安曇野地域では、麻栽培の後作としていましたが、
麻が化学繊維の進出におされて減ったことや、稲作技術の進歩もあって、蕎麦栽培が駆逐されたのです。
そば粉は古くから知られ、そばがきは、特に豊臣秀吉の大好物だったようで、
貴族、武士、庶民を問わず、広く食されてきた我が国伝統食ですが、良質のたんぱく質、
ビタミンB類が多く、医者も勧める健康食として現代でも人気の食品となっております。

    江戸店や初蕎麦がきに袴客       小林一茶
     
    ソバは世界各地で栽培されており、ロシアでは、そば粉で作った「ブリニ」と言う
揚げせんべいがありますが、西欧では一般的に高級飼料として競走馬などに与えるのが一般的です。
ヒマラヤでは標高四千メートルまで耕作地があり、信州でも千五百メートルまで畑があり、
痩せ地でも育つ逞しい穀物でもあります。
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