しらす・さぶろうの日本人がんばれ!観光立国編
第五十六話:大手ホテル、デパートの偽装、詐称食材事件は国の恥
2013/11/08

本物の国産黒毛和牛のヒレ肉.
調理後の成型肉切り口は見たことがないが、素人には判別できないくらいになるのだろう



夏ごろより中国人観光客が増え、平均20万円も使ってくれる上客と喜んでいる観光関連産業。
危険な食品の多い中国から離れて、安全な日本の食事と買い物を満喫していることだろう、
というのがこれまでの認識。
その信用、信頼が大手ホテル、デパートの永年の偽装と詐欺行為発覚で根底から覆されている。
食材業、食品加工業、外食産業の偽装蔓延は日本人として恥ずかしい限り。
来日客の目標2500万人。和食文化の世界遺産登録などと騒ぐのも空しい。

これまでも三重の赤福の売れ残り包替えによる生産日偽装、大阪の超高級といわれた
割烹料亭吉兆の食材偽装や「残飯の使い回し」
北海道ミートホープの偽牛肉。近江牛の業界団体幹部が絡んだ偽装ブランド肉。
袋まで印刷していた新潟の大手コメ問屋の偽コシヒカリ。イオンを騙した(?)コメ問屋の偽国産米。
大小、数多い業者によるウナギ、しいたけ、タケノコ、鰹節、塩などの産地偽装。
実例羅列にはページが足りなくなるほど、食の業界の腐敗は根が深い。
 
悪の根源の一つには国防に名を借りた輸入食材への高率関税がある。
40%近い牛豚肉、300%を超えるバター、小麦、砂糖などは食産業では主要な位置を占める食材の一つ。
これらが非常識に高価となるから偽装がおこるという問題も見逃せないが、良心、誠意という言葉が
業界に存在すれば防げないことはないだろう。

グランド・プリンスホテル、リッツカールトン・ホテル、ホテルオークラ、奈良の三笠など、
日本で最高級といわれるホテルの食事価格は街中の大衆価格と較べれば3倍はする。
看板で信用させ、詐称、偽装した安材料を数倍から10倍も高く売る大手業者の行為は
まさに詐欺。
騙し続けた期間が長いだけに食品関連の詐欺事件としてはきわめて悪質。


ヒレ肉ステーキならオーストラリア産がお奨め.玉ねぎ、にんにく、胡椒のみの味付け
で充分美味しい.牧草育ちが多いゆえにいやな脂も少ない。
オーストラリア産和牛交雑種の味はBランクの国産ヒレ肉より良好と評価が高い.

4割近い関税に関わらずBランクの黒毛和種ヒレ肉と比較して約半値(約600円/100g).
BSEの危険性も限りなくゼロに近い安全度.



最も悪質なのは牛肉の偽装。
伊賀牛や国産黒毛和牛などと表示された牛肉がオージービーフやアルゼンチン・ビーフに
脂を注入した成型牛肉に化けている。
成型肉はO-157に汚染されて事件となったファミリーレストランなどのサイコロステーキで
知られるようになった。
牛ヒレ肉の成型は濃厚なデミグラスソースなどで覆えば、一般客にはわかりにくい。
わずか数百円/100gの成型肉が4-6千円/100g。
一流どころならばブランド牛でなくとも一皿150gで7-8千円以上はする。
ずいぶん客をバカにしている話だが看板を信用しているからこそ「露ほども」疑わないだけ。
 
オリンピック招致成功にあやかって観光立国のスローガンにも「おもてなし」が加わった。
「おもてなし」とは何のことか、観光業界はわかっているのだろうか。
鎌倉八幡宮の若宮大路に面した立地で観光客に人気の中華料理店がある。
ここでは詐称食材が目玉となっているコース名があろうことか「おもてなし」。笑い話ではない。
中華偽装の定番である黒毛和牛、芝エビなどが「おもてなし」メニューに明記されていたが、
客に質問されてあわてて撤回。これまで何年も食していたお客には何の説明もない。
11月になり芝エビのチリソースが2415円から1000円に特売され、芝エビ表示はエビに変わっていた。
もともと使用エビはバナメイや白エビだろうが、露見を機に在庫を整理か。
バナメイなど養殖エビは産地の不作で価格が高騰しているが、かっては芝エビの数分の1だった。

食は交通、宿泊と並んで観光の重要インフラ。
詐欺を指摘されたホテル業者が言い訳に「誤認表示」との新語を編み出した。
チェーン店のほとんどで詐称しておいて誤認とは。
誤認することと騙すことでは本質が違う。
今回明らかになった数々の事例は景品表示法、不正競争防止法などで取り締まる必要はない。
これは立派な詐欺事件。
常識的に考えても詐欺に新たな法律を作る必要はまったくない。
国や行政がだまされたケースは詐欺として立件され、消費者の場合は手ぬるい取り締まりの不公平。
2000年代初めの雪印、日ハム、伊藤ハムなどが国産肉買い取り制度(BSE汚染疑い肉)の悪用
で巨額な不正。
国が相手の犯罪だけに逮捕者が出たり、雪印食品が倒産する騒ぎ。
渦中の大手問屋ハンナンなどとともに業界の堕落を際立たせた事件だった。
業界を浄化するには関係する大手業者個人を詐欺で刑事告訴するのが近道。

欧米先進国でも、たまに詐称、偽装が摘発されるが、キリスト教が倫理のベースとなっている国と
無宗教の日本とは規模が大きく異なる。
消費者が未熟で、ブランドや宣伝のみで良否を判断する国民性を悪徳業者が利用している。
この業界は常軌を逸している。

 (しらす・さぶろう)
 
 
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