禁断の実を選択する食品業界の多国籍企業
世界企業に寡占化されている植物性食用油製造業
トランス脂肪酸研究会 乃木生薬研究所は、1990年代より トランス脂肪酸の排除に 取り組んでいます。 1. トランス脂肪酸か?遺伝子組み換えか?飽和脂肪酸か?の選択 2. 植物性食用油の店頭陳列劣化防止にトランス型脂肪酸が求められる 3. トランス脂肪酸含有食用油でもトランスファットフリーとは 4. 巨大資本に支配される植物性食用油の世界 5. トランス脂肪の削減に飽和脂肪酸を選択する多国籍食品企業 6. トランス脂肪酸の完全な追放が出来ない行政当局 7. トランス脂肪酸削減を遺伝子組み換えで解決? 8. トランス脂肪排除を表明する多国籍食品企業 9. 遺伝子組み換え農産物、多国籍企業の対応 10. パームオイル(palm oil)とアブラヤシ(obe palm) 11.タロー(tallow)とは 1.トランス脂肪酸か?遺伝子組み換えか?飽和脂肪酸か?の選択 食の安全問題で、新御三家ともいわれるのが、「食品添加物」、「遺伝子組み換え」、 「トランス脂肪酸(トランス脂肪)」の有害論です。 なかでも15年前頃より急浮上してきたトランス脂肪は、健康障害をおこす諸悪の根源と もいわれるようになり、現在では大手食品会社最大の関心事となりました。 トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、肥満や、重大疾患である心筋梗塞、脳卒中、 2型糖尿病、胆石、アテロームのリスクファクターとして最大のものであるといわれています。 特に心臓の冠状動脈疾患死亡者が年間50万人を越える米国では、トランス脂肪の排除に 真剣に取り組み、2006年1月1日には3年間の猶予後トランス脂肪酸表示が義務化されました。 ヨーロッパの先進各国はこれに追従する動きを見せ、トランス脂肪の削減ないしは追放を 迫られる大手食品会社の悩みは尽きません。 加工食品の40%以上に食用油が使用され、トランス脂肪に深く関与しているからです。 世界の食品業界は、巨大メーカーと巨大流通業者が支配する業界だけに、 小回りが効きません。 これら世界企業がトランス脂肪の追放に、旧有害食品御三家の一角である飽和脂肪酸や、 新種の遺伝子組み換え素材を利用することが、新たな問題となっています。 2.植物性食用油の店頭陳列劣化防止にトランス型脂肪酸が求められる トランス脂肪は大豆、菜種、トウモロコシなど植物性の不飽和脂肪酸が変化して生じます。 不飽和脂肪酸は常温では液状であるため、パンやケーキなどがその形を保つことができません。 したがって不飽和脂肪酸である植物性の食用油は、工業用に使用出来るよう生産過程において 水素を添加して、トランス脂肪と呼ばれる安定した形にしています。 トランス脂肪は調理用食用油を製品化する量産過程の高熱でも発生していますが、 搾油時、調理時の高熱によっても発生します。 市販される植物性食用油のほとんどがトランス脂肪酸を高率に含有するのは、 スーパーなどでの販売方法の欠陥もあります。 不飽和脂肪酸の植物性油は不安定ですから酸化が急速に進みます。 空気に暴露すると酸化することは周知されていますが、酸化の大きな原因が 紫外線や蛍光灯であることはあまり知られていません。 スーパーなどの店頭で酸化を防ぐには遮光ボトルに変えるしかありませんが コスト高になりますから酸化しにくいトランス型の植物性食用油が販売されます。 3.トランス脂肪酸含有食用油でもトランスファットフリーとは 米国で使用され始めた業界言葉です。 本来フリーとはゼロを指すことが多いのですが、この場合は許容量以下を意味します。 トランス脂肪酸が非常に有害であるということが確定的になってきているために、 本来は許容量の基準というものは存在しません。 妥協の産物と言えます。 米国では暫定的な許容量として、脂肪分14グラムに対し500mg以下の摂食を許容の基準にし、 これ以下の場合はトランスファットフリーという表現が使われます。 欧米などの先進国では、食品のトランス脂肪含有量の表示が義務化されつつありますが、 これは消費者に選択肢を与えるということ。 食品業界が本当に安全な対応ができるようになるまでは、使用を禁止することは不可能でしょう。 使用を禁止したといわれるデンマークでさえ、一日2グラムという寛容範囲があります。 4.巨大資本に支配される植物性食用油の世界 (写真上)ユニリーバ(Unilever)傘下の油やし・プランテーション。 不飽和脂肪酸のパームオイルは遺伝子組み換えキャノーラ新種とならんで トランス脂肪酸減の切り札. 植物性の食用油生産と販売は非常に特殊な業界。 世界の販売量の約38%が9つの生産会社に支配されています。 特にオランダのユニリバー(ユニリーバ)・グループ(Unilever)は巨大で、 世界の販売量の約17%を占めます。 食用油はヨーロッパ諸国を中心に生産規模の小さい自家生産、自家消費農家が 相当量(推定で約30%)を占めますから、世界の食用油市場における 多国籍企業の支配は寡占といえます。 どの会社も巨大な生産設備を持つ工場を世界各地に設置しており、 トランス脂肪酸、遺伝子組み換え原料が簡単に排除できない原因の一つとなっています。 世界の食用油市場を支配する巨大企業。(2004年現在) 巨大な会社群に支配される植物性油市場は舵とりに小回りが効かない巨艦にも 例えることが出来ます。
大手の食品会社はトランス脂肪の削減を、タロー(牛脂)、パームオイルなどの飽和脂肪酸に 、一部(加工食品用油)を代替することで解決しようとしています。 飽和脂肪酸は善玉コレステロールなど必要成分にもなりますが、過剰な摂取は肥満の元ともなり、 トランス脂肪同様に心臓血管に有害であるとされています。 飽和脂肪酸には、動物性のバター・ラード・タローなどや、植物性のパームオイル、ココナッツオイルなど があります。 飽和脂肪酸はすでに安定した形ですからトランス脂肪酸は生じません。 飽和脂肪酸は常温で固形化するために家庭用の調理用油より、インスタントラーメン、 パン製造、洋菓子製造など工業用に大量に使用されています。 トランス脂肪フリー(これはゼロという意味ではありません。基準値以下という意味です)に 取り組んでいる巨大食品会社やマクドナルドなど飲食業界はトランス脂肪フリーの商品作りに いろいろな方法を検討し、一部はすでに実行されています。 この中で最も簡便で、コストの安い方法が一部(加工食品用油)を飽和脂肪酸へ転換することです。 これまでの常識を覆し、飽和脂肪酸はトランス脂肪酸より害が少ないといわれるようになりましたが、 米国などでは飽和脂肪酸の摂食量があまりに多く、心臓への有害論がトランス脂肪と並び根拠がある学説 となっています。 食の安全を考える消費者団体などは、飽和脂肪酸で打開を図る大手食品会社の方針に 異論を唱えています。 最も使用量の多い飽和脂肪酸のパームオイルには発がん物質*が含有されている 危険性も指摘されてもいます。 **花王のエコナで話題となった発ガン性物質3-MCPDの含有。 3-MCPDは多種類の食品に含有されているといわれますが、天然の植物性油脂に多く存在し、 パーム油の含有量が特に多いのが特徴です。 加工食品の40%近くが食用油を使用しているといわれ、その大部分が飽和脂肪酸含有 に代替されれば、新たな問題が起きることは必至とも言えます。 6.トランス脂肪酸の完全な追放が出来ない行政当局 大問題化したトランス脂肪も、ワインの腐敗防止添加物が規制できないことと同様、 これに代わる新技術が確立しない限り禁止することが不可能です。 このため、食の安全を管理する米国FDAも、消極的表現である「出来るだけ摂食を少なくするように」と いわざるを得なく、消費者団体の抗議を招いています。 2004年には米国医学会で結成する、ナショナル・アカデミーの医学研究所
2000年にはすでに米国の食品スーパー、グローサリーなどの販売量約70%が 遺伝子組み換え原料使用食品でした。 (the Grocery Manufacturers of America)。 二大農産物である大豆とトウモロコシを使用しているスナックや朝食のシリアル、食用油は、 遺伝子組み換え原料の使用量が圧倒的に多いために、非組み換え食品を一部商品に使用したくとも、 混入を避けることが困難であるといわれます。 大豆とトウモロコシの作付面積は6千万エーカー/2004に及びます。 したがって巨大メーカーといえども、市場に出回る農産物を組み換え品が混入したか、 否かの識別することが困難になっています。 たとえ非組み換え農産物を使用していると主張しても、大豆とトウモロコシに関しては 「立証できない」といわれています。(ニューヨーク・タイムスなどより)
パームオイルはアブラヤシから搾油され、食用植物油では最も安価です。 パームオイルの統計にはココヤシ(Cocos)、ヤシ核油(kernel oil)を含む場合もありますが、 ココヤシは異なる品種。 大豆油と並んで世界で最も生産量の多い油脂で、食用のみならず、石鹸などにも加工されます。 パームオイルは飽和脂肪酸ですから、トランス脂肪同様にパンやケーキなどの形を保つことが出来、 11.タロー(tallow)とは |
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