ブドウ・レスベラトロールのニュースと解説
長寿社会の勝ち組になるには(その44)
​COVID-19:マサチューセッツ総合病院が窒素ガス治療の治験
2020/06/14
 

1. 山中伸弥博士が提唱している「ファクターX」
2. 謙虚なスタンスで考えてほしいウィルスの特性
3. 副作用、後遺症の少ない治療法への転換期 
  有力候補は窒素ガス(NO)吸入療法
4. マサチューセッツ総合病院が窒素ガス治療の治験
 
5. マウント・シナイ・アイカーン医科大学の窒素ガス治療
6. 一酸化窒素(NO)の体内合成と血管弛緩の効果 
7. グアニル酸シクラーゼと血管内皮由来弛緩因子
8. 一酸化窒素量を増やすには一酸化窒素合成酵素(eNOS)の刺激

               

               マサチューセッツ総合病院
 
1. 山中伸弥博士が提唱している「ファクターX」
約6か月続いている新コロナウィルス(COVID-19)騒ぎも中盤に入り、
治療薬、ワクチンの本命が決まりつつあり、一区切り。
ところがCOVID-19はアジアを除けば、医療先進国の欧米諸国やアフリカ、
中南米などで、いまだに拡大中。
消火策大綱(戦略)がほぼ決まり、各国ともに方向性は得ているようですが
世界の終息がいつになるかは予測ができません。
 
気がかりなのはウィルスの正体がいまだにはっきりしないこと。
今後の変異ウィルス、強毒化ウィルス対策のためにも
全体像の解明を急がねばなりません。
現在流行中のウィルスの異種、亜種は4月現在で17種類の遺伝子が
解析されているといわれますが、山中伸弥博士が提唱している
「ファクターX:日本やアジアで被害が小さい謎」
の解明に成功すれば、パンデミック・ウィルスの全体像が
浮かびあがると期待しています。
国家予算で大プロジェクトとする価値があるテーマです。
 
山中伸弥博士説のファクターX候補にはBCG接種や高度な公衆衛生、
インフルエンザ・コロナなど既往感染症の免疫など、5項目くらいが含まれていますが、
ウィルス毒性の違い、候補となっていないアジアの発酵食品や魚食文化も
調査対象にしてもらいたいものです。
 
東京都が連発するカタカナ行政にはなじめませんが、
山中伸弥博士のカタカナは医学の先進国が欧米であることを考えれば
スローガンとしてふさわしい言葉。
火の粉を振り払うのに忙しい外国勢に代わり、アジアの日本が
存在感を示さねばならない重要課題です。
 
2. 謙虚なスタンスで考えてほしいウィルスの特性
日本での感染者や死亡者が極端に少ないのは
「政治、行政の施策、対応が優れていたから」
「国民の教育レベル、民度が高いから」
「国民の公衆衛生思想が他国より抜きんでているから」
などなど、自画自賛が巷(ちまた)に溢れています。
 
確かにスーパーなど公衆施設では世界に先駆けマスクを欠かしませんが
最も汚染される指を覆う手袋をしている人は極稀。
スーパーでは未包装の野菜や果物を素手で触りまくり、カートや籠(かご)に
神経を使う人も稀。
笊(ざる)で水を汲み上げる程度の衛生知識です。

60年くらい前の汲み取り式トイレや畑の肥料は、欧米に遅れること数十年。
それを知る年配者は日本人の衛生思想が欧米より優れているとは
考えないでしょう。

*絶景と露天風呂は素晴らしく、楽しいものですが
 外国人が急増している時代は、公衆衛生の観点から、
 島国の「大風呂文化」を見直す必要があります。

温泉施設の大風呂はプールと異なり消毒液使用の規制がありません。
古代ローマがヨーロッパを席巻した当時はローマ風呂文化が各地にもたらされました。
日本独自の優れた伝統文化と自称しますが、欧米で大風呂文化が廃れたのには
理由があるでしょう。
公衆浴場の澄んだ水を電子顕微鏡で覗いてみれば答えがわかります。
 
3. 副作用、後遺症の少ない治療法への転換期

    有力候補は窒素ガス(NO)吸入療法
コロナウィルス群の一つであるサーズ1世(SARS-CoV-1:2003)、
サーズ二世(SARS-CoV-2)震源地の武漢では様々な治療法が選択され、
試行錯誤が繰り返されましたが、サーズ二世の治療法で注目されたのは、
サーズ1世当時に試みられ、成功した窒素ガスの使用でした。
武漢の研究者からの報道では、人工呼吸器を使用せねばならない重症患者は
肺血流の梗塞により助からない方が多いのですが、窒素ガスを併用すると
救命率が高くなったそうです。
 
理由はサーズには気道を狭める作用、血栓を造る作用があることから
呼吸困難患者への対症療法に窒素ガスの気道や血管を弛緩させる作用を求めたのです。
血管を広げ、血を固まりにくくする効果があるという
一酸化窒素の吸入(inhaled nitric oxide)は
これまでも肺炎など肺疾患の治療に各国で使われています。
 
一酸化窒素(NO)には血管の筋肉をしなやかに、かつ弛緩させ、血流を良くする働きがあり、
また、血管内のコレステロールや血栓の発生を抑えることが知られています。
突発する脳、心筋梗塞を解除するニトログリセリン(nitroglycerin)は
一酸化窒素(NO)の血管弛緩作用を利用する医薬品です。
 
4. マサチューセッツ総合病院が窒素ガス治療の治験

                
 
         マサチューセッツ総合病院  ハーバード・メディカルスクール    
アメリカ東部マサチューセッツ州ボストンにあるマサチューセッツ総合病院は
全米の総合病院ランキングで2位といわれる質の高い病院。
創立1881年の全米で最も古い、3つの病院の一つです。
ハーバード・メディカルスクールの関連医療機関としても知られ、
最大の特徴は病院ベースの医学研究で世界一といわれていること。
昨年2019年の研究費予算は1,000億円を超えています。
 
同病院のハリス内科医(Dr. Stuart Harris)によれば
「窒素ガス吸入は血管を広げ、血を固まりにくくする効果がありますが、
ウィルスを殺すことも可能です」
「すでに3月時点で5例の集中治療室や人工呼吸器使用の重症患者に実施をして
良い結果を得ていますので、治験を続ける」とのこと。
 
米国は死者が11万人を超えてピンチを迎えている時期にかかわらず
治療薬やワクチンの戦略が決まったこともあり
人命救助最優先で副作用や後遺症を無視して戦ってきたこれまでと異なり
「安全性の高い治療法」を模索しており、窒素ガス吸入は
その有力な候補となるでしょう。
*マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital:MGH)
 
5. マウント・シナイ・アイカーン医科大学の窒素ガス治療
全米最多数の新コロナ感染者、死者数となっているニューヨーク市で
感染者の治療にあたっているのはニューヨーク市内の
マウント・シナイ・アイカーン医科大学。
新ウィルスに呼吸器を冒された感染者は肺の血管内皮や体組織の細い血管に
血栓(血塊:blood clots)を作ることが特徴的と捉え、その*抗凝固療法(anticoagulation)と
カテーテルにより薬物を搬入しての除去(thrombolysis)を主要療法として
様々な手法を試みていますが、人工呼吸器を使用する患者には窒素ガス吸入で
救命率を高めているそうです。
 
重篤患者が運ばれる臨床現場では毎日のように多数の死者が出ているために
試行されている治療法の総括はまだですが、窒素ガスの使用、魚油のEPA投与などを
副作用が少ない有力な候補としています。
 
*抗凝固療法:anticoagulation
肝臓で産生されるプラスミノーゲンの多くは血漿中に存在し、活性因子により、
タンパク質分解酵素プラスミン(plasmin)となります。
プラスミンは活性化することで血栓を溶かし、血流を元に戻します。
不活性化しているプラスミンを活性化して、血栓の繊維質フィブリンを溶かし、血流を復活させる
プラスミノーゲン活性化因子は心臓や肺などの組織から分泌されます。

合成された血栓溶解医薬品にはプラスミノーゲン活性化因子増強剤の
tPA:tissue plasminogen activator がありますが
重症患者の救命率が高いとは言えないようです。
 
プラスミノーゲン:plasminogen
*マウント・シナイ・アイカーン医科大学(Icahn School of Medicine at Mount Sinai)
マンハッタンのミッドタウンに施設がある全米でトップランクの医科大学。
呼吸器治療の研究に関してはユダヤ教徒が1899年創立した米国一とも言われる
呼吸器疾患専門病院のユダヤ健康病院(National Jewish Health:コロラド州デンバー)と提携し
Mount Sinai – National Jewish Health Respiratory Instituteを形成しています
シナイ山(Mount Sinai)はシナイ半島(エジプト)にある、モーセが神から
十戒を授かったとされる山。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教などが聖地としています。
 
6. 一酸化窒素(NO)の体内合成と血管弛緩の効果 
「Nitric oxide as a signaling molecule in the vascular system」
窒素は食品加工、医療、農業園芸肥料を始め多岐な産業で使用され、酸素と並び、
非常に身近な元素ですが、上記のように人間の体内で生命維持に必須な働きをしていることが
解明されたのは1986年。比較的最近のことです。
 
多くの人々が、窒素の重要な働きを知ることになったのは*1998年のノーベル賞受賞で、
一酸化窒素ガスの解説がマスコミを賑わしたことが大きいですが、永らく窒素ガスを研究し
その機能を利用したED治療剤(バイアグラ:ファイザー社)が同時期に出現したことも見逃せません。
 
*1998年ノーベル医学生理学賞:
「シグナル伝達物質としての一酸化窒素(NO)の発見:
Nitric oxide as a signaling molecule in the vascular system」
F.ムラド博士(Ferid Murad)、R.F.ファーチゴット博士(Robert F. Furchgott)
L.J.イグナロ博士(Louis J. Ignarro)
 
肉食や油脂が中心の米国式食生活は心筋梗塞や脳卒中患者を大量に産みだす
副作用に悩んでいますが、医学データの蓄積と医学機器の進歩が顕著となった
1970年代ごろより血管、血流医学は飛躍的な進歩を続けています。
 
1980年には*血管内皮由来弛緩因子(EDRF)が
ニューヨーク州立大学ファーチゴット博士らにより発見され、話題となりました。
その弛緩因子がNOガスのことであること(イコールというより、間接的に)が
判明したのは1986年でした。
*血管内皮由来弛緩因子(endothelial cell derived relaxing factor:EDRF)
 
7. グアニル酸シクラーゼと血管内皮由来弛緩因子
NOが血管平滑筋を弛緩させる作用機序は、ガス状元素のNOが平滑筋細胞の内部へ移動し、
酵素のグアニル酸シクラーゼに平滑筋を弛緩させる*サイクリックGMPを生成させることです。
このメカニズムを発見したのがムラド博士(下記)。
*(やや詳細)
グアニル酸シクラーゼには神経や血管細胞内のグアノシン三リン酸*(GTP)を
サイクリックGMP(cGMP:環状グアノシン一燐酸)や
エネルギーを産生するATP(アデノシン三燐酸) に変換させる機能があります。
これは非常に重要な作用の発見であり、
cGMP合成に関わる酵素の可溶性グアニル酸シクラーゼの作用を
発見していたテキサス大学のムラド教授はノーベル賞を共同受賞しました。
*グアノシン三リン酸*(GTP:guanosine triphosphate)
*サイクリックGMP(cGMP:環状グアノシン一燐酸:guanosine monophosphate)
*可溶性グアニル酸シクラーゼ(guanyl cyclase)
 
詳しくは下記に記載されています。
一酸化窒素合成(NO)とサイクリックジーエムピー(GMP)の産生)
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=66
 
8. 一酸化窒素量を増やすには一酸化窒素合成酵素(eNOS)の刺激
血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の窒素合成はカベオリン蛋白が調節します。
カベオリン‐1(caveolin-1)は*細胞膜ラフトに局在するカベオラ(caveolae)という
細胞膜構造物を構成する主要なタンパク質です。
血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)*の調節に関与しています。
刺激されていない内皮細胞では、eNOSがカベオリン-1と結合する事によって、
その活性が抑制されたままカベオラに局在しています。
*細胞膜ラフト:筏状に存在する細胞膜の外構成物質。

一酸化窒素(NO)を増加させる方法は内皮細胞の刺激です。
ぬるめのお風呂にゆったり浸かることでも刺激を受けます。
内皮細胞が刺激を受けると、細胞質のカルシウム濃度が増加し、
カルシウムによってeNOSとカベオリン-1との結合が阻害されるため、
eNOSはカベオラから解離し細胞質へ移動すると共に、
活性化され一酸化窒素(NO)を生成します。
一酸化窒素合成酵素はあらゆる体組織に存在し、細胞内小器官ミトコンドリアにも
存在していますからミトコンドリアの活性化は一酸化窒素(NO)の増量につながります。
血管の若さは、一酸化窒素(NO)の量が直接関係します

「ブドウレスベラトロールが防御する微生物感染症:
免疫細胞強化ペプチドのカテリシジンを活性化」
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=202

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https://www.botanical.jp/item_view.php?item_number=28
レスベはフランス産の天然赤ブドウを原料に日本で初めて作られた
ブドウ・レスベラトロール・サプリメント.
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「ブドウ・レスベラトロールが関わる窒素合成と
サイクリックジーエムピー(GMP)の産生」
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エネルギー源となるエーティーピー(ATP:アデノシン三リン酸)とは
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=147
「バルクワインの重金属汚染と無添加ワインのからくり」
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=448
「ヒジキなどの食品ヒ素に肺がんリスク:国立がん研究センター」
ヒジキは必ずしも健康食品ではありません
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=123


https://www.botanical.jp/item_view.php?item_number=36

https://www.botanical.jp/item_view.php?item_number=1011

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