ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)
第壱百四話:「虹は三色、五色、それとも八色」
2019/06/23
気象光学現象が見せてくれる大気の色彩美は、朝焼、夕焼、蜃気楼、陽炎などの大気によるものと、太陽光や月光が水滴に当たって光の屈折・反射が起こり、分散されるために発生する虹、彩雲、幻日環、幻月環、環水平アークなど多様な自然景観があります。
中でも梅雨明けに太陽を背にしたときに目にする「虹」が素晴らしく、夏の季語に用いられます。

浅間かけて虹の立ちたる君知るや 高浜虚子
虹の環を以て地上のものかこむ 山口誓子

ところで、我が国では明治以降「虹は七色」と言い古されてきましたが、これはニュートンが光のプリズムの実験で見出した可視光線(赤から紫まで)の多彩な色の帯巾を音楽の
七音階の高さの幅と見立て合せた仮設が当時の欧州で広く受容された為
(三百年前の西欧では音楽は優位学問とされ、自然現象と結びつけられていた)、
この学説が江戸末期に伝わり明治の学校教育に取り上げられたことによるもので、
今では科学的真実とはされていません。
ご承知のように電気工学における光の三原色は「赤、緑、青」で、これが合わさると「白色」となります。
(一方絵の具の三原色は「赤、黄、青」で混ぜ合わせると「黒色」になります。)
我が国の史家によると、古代は二色(縄文人の血を引く沖縄では今も二色という一派がおります)とか三色に、中近世では五色に見えていたようです。
世界はどうかというと、アフリカの一部族では八色、オランダ、日本、台湾、韓国が七色、米国、英国では六色、フランス、ドイツ、メキシコ、中国などは五色、ロシア、中央アジアの多くが四色、ポリネシア諸部族、台湾の一部族、沖縄の一派、南アジア部族は二色が定説のようで、絶対的真実はなさそうです。
本当は無限大なのかもしれませんが、後世の光学技術進展による解析を待つ他ありません。
なお、七色グループが出島でのオランダ人と我が国の交易と文化交流の影響を受けており、
台湾・韓国は日本の併合時代の学校教育の影響が読み取れますし、縄文人と血を分けたとされるポリネシア、台湾、沖縄に及ぶ石器時代に遡る共通文化にも思い至ります。
虹の語源を探ると、方言との関係性が分かって来ます。縄文語系とされる
「ヌジ・ノジ・ノズ・ネジ・ナギ・、ニ―ジ」など偶然とは思われない『n音』の大和言葉が文献以前からあったようで、万葉集では「ヌジ」が平安時代以降は「ニジ」の語形が使われて来たことが分かっています。

意味としては、魔物・化け物、青大将・シマヘビ等々として古代人には恐ろしい霊物と
みなされていたので、語源との結びつけは「魔物のヌシ(主)」とか、「ウナギ」や「アナゴ」の語形とも近いと言われております。
なお、漢字の方は「虫が横たわる」の意味で、中国では竜とか大蛇のことを主と考えていたようです。
因みに、ギリシャ神話では女神イリスが天地を渡る橋とされ、美しく幻想的な
物語が残されています。
さすればと「虹の橋」という季語を使った名句を探してみたのですが、見つけられませんでした。
 
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