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長寿社会の勝ち組になるには(その26):
悪化する緑内障を細胞の内外で制御する抗酸化物質とは
2017/11/11


1.東北大学の研究論文は抗酸化力と緑内障重症度の関係
*BAP(Biological Antioxidant Potential)

*酸化ストレス
2.山梨大学は眼圧をコントロールする新しいメカニズムを発見
*ヌクレオチド
 (nucleotide)
*P2Y6受容体(P2Y purinergic receptor)

*Gタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptors)
*ロドプシン(Rhodopsin:視紅:しこう)
*ATP:アデノシン三リン酸(adenosine triphosphate:ATP)

*ウリジン三リン酸(Uridine triphosphate:UDP)
*受容体(receptor)
3. 緑内障の発症と進行を制御する食生活
*8OHdG(8­ヒドロキシデオキシグアノシン)とは


1.東北大学の研究論文は抗酸化力と緑内障重症度の関係
緑内障の発症・進行に酸化ストレスが関与する可能性は以前から幾つもの報告が
ありましたが、東北大学大学院医学系研究科眼科学分野中澤徹教授らは
眼圧以外の緑内障へ影響を与える因子として、抗酸化能力に的を絞り、
抗酸化力と緑内障重症度との関係を年齢、性別に調査。
この研究はサイエンス誌関連のScientific Reportsに報告書(2017年8月14日)が
掲載されました。
「緑内障患者における抗酸化力と網膜神経節細胞数の関係:
Age-and sex-dependency of the association
between systemic antioxidant potential and glaucomatous damage」

中澤徹教授らは以下の様に述べています。
「緑内障の治療として薬剤や手術によって眼圧を降下させる治療法が普及しているが、
眼圧が正常の場合には効果が薄いことが問題」
「日本の緑内障患者の多くは眼圧が正常範囲である正常眼圧緑内障であり、眼圧下降以外の
治療法の開発が急務」
「眼圧の制御が良好であっても病状が進行する緑内障患者は少なくありません。
そこで我々は、眼圧以外の緑内障へ影響を与える因子として*酸化ストレスに打ち勝つ
抗酸化力に着目し、緑内障重症度との関係を調べました。
抗酸化力の指標となるBAP(Biological Antioxidant Potential)を、
ヒトの血液サンプルからフリーラジカル(活性酸素)分析装置を用いて測定した結果、
65歳以下の比較的若年男性の緑内障患者ではBAPと緑内障重症度である
網膜神経節細胞数に正の相関があることを見出しました

博士らは*P2Y6受容体を選択的に活性化させる*ウリジン二リン酸(UDP)を点眼すると
眼圧が低下する事を発見
UDPの作用は*眼房水の産生を抑制した結果起きたものと考えました。
*眼房水は角膜、虹彩、水晶体など眼球構成物体間をつなぎ栄養補給や眼圧をコントロールする。
眼圧は眼房水の産生及び排出のバランスによって眼内に生じる圧力。
眼圧が上昇すると視神経への機械的な負荷が増加し、それによって視神経が傷害されると
考えられています。
この研究により今後は抗酸化治療が緑内障治療の一助となることが期待されます。
*BAP(Biological Antioxidant Potential)
フリーラジカル分析装置(Wismerll社)で測定できる血漿中の抗酸化力
*酸化ストレス
細胞内で発生した活性酸素と消去のバランスが崩れ、DNAやタンパク質、脂質が傷害されること
 
2.山梨大学は眼圧をコントロールする新しいメカニズムを発見
一方、山梨大学大学院 医学部の 小泉 修一教授、柏木 賢治準教授 、篠崎 陽一講師らは
緑内障の主原因となる眼圧をコントロールする新しいメカニズムを発見。
2017年10月 5日に米国医学誌発行の*「JCI Insight」に掲載しました。
* JCI :journal of the American Society for Clinical Investigation
「細胞外ヌクレオチド*とその受容体であるP2受容体の異常が緑内障の発症に寄与する」
この論文では「*細胞外ヌクレオチドとその受容体であるP2Y6受容体が眼圧のコントロールに
重要であること、またP2Y6受容体の欠損によって眼圧が上昇し、緑内障に類似した症状を
引き起こすという、眼圧をコントロールする新しいメカニズムを発見した」と発表しています。

小泉 修一教授らの研究チームは、下記の様に述べています。
「眼圧は、眼房水の産生と排出のバランスによって決まります。
これまでの治療では複数の眼圧を下げる点眼薬が治療に用いられていますが、
さまざまな副作用や単一の薬剤では効果が不十分な場合があること、
薬剤の効果が徐々に減弱または消失する事が問題」

そこで、これまでの研究により確認されていた
「眼の体液である眼房水にも*ヌクレオチドが存在する事、
生理的な刺激に応じて眼の組織からヌクレオチドが放出される事、
緑内障患者の眼房水には健常者に比べて非常に高濃度の*ヌクレオチドが
含まれる事」をベースに、細胞外*ヌクレオチドとその受容体であるP2受容体の異常が
緑内障の発症に寄与する
、との仮説を立てて研究を続けました。
ヌクレオチド (nucleotide)
ヌクレオチド (nucleotide) は、様々な塩基と糖が結合した化合物であるRNA(リボ核酸)の
構成要素ヌクレオシド (nucleoside)にリン酸基が結合した物質。
細胞外に浸出して神経伝達など様々な働きをする。
核(ニュークル)が語源.

研究により得た成果は
「野生型マウス*でも加齢によってP2Y6受容体発現や機能が顕著に低下」
「マウスの眼圧を低下させる*ヌクレオチドを探索したところ、野生型マウスはP2Y6受容体を
選択的に活性化させるウリジン二リン酸(UDP)を点眼すると眼圧が低下する事を発見」
「UDPによる眼圧低下作用は、P2Y6受容体を欠損したマウスでは見られなかった」
「P2Y6受容体の欠損により眼圧上昇、網膜傷害、視覚機能低下などがみられ
緑内障発症リスクが上昇する」
「加齢によってP2Y6受容体発現や機能が低下する」
小泉 修一教授らによれば、P2Y6受容体を効果的に活性化する、または発現を上昇させる薬剤が
緑内障の治療薬として期待できるそうです。
*野生型マウス
一般的にマウス(mouse)での実験は糖尿病、癌、肥満、高血圧など、
遺伝子に様々な変異を意図的に細工した
ノックアウトマウス(Knock- out mouse)を使用しますが、その比較には変異がない
普通のマウス(wild type mice)を使用し、野生型マウスと呼んでいます。

*P2Y6受容体(P2Y purinergic receptor)
アデノシン三リン酸(ATP)、ウリジン二リン酸(Uridine triphosphate:UDP)などの
ヌクレオチド*をリガンド(特定な受け入れ物質)とする細胞表面受容体。
Gタンパク質共役型受容体*に属し、ATP受容体と同義.
*Gタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptors)
G蛋白質共役受容体は解っているだけで数千種類
P2Y6受容体、*アレスチンもその一つです。
その分子構造解明は数多くの創薬に貢献し、人類と病魔の戦いに強力な援軍となっています
「G蛋白質共役受容体の構造解明とは?:2012年のノーベル化学賞を受賞」
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=193
抗酸化力の衰えは細胞内に神経伝達物質の*アレスチン(arrestins)を発生させますが
アレスチンは光を認識するGたんぱく質共役型受容体の*ロドプシン(Rhodopsin)に結合し、
その活性を阻害します。
*ロドプシン(Rhodopsin:視紅:しこう)
ロドプシンは最も早くから分子構造が解明されたGたんぱく質共役型受容体。
暗がりで光を認識できる網膜色素として眼の健康に重要な物質で、
機能するにはアルコール型の天然ビタミンA(レチナール)が必須です。
天然の青魚魚油にはレチナールとビタミンEが豊富にふくまれます。
「インスリン感受性促進を仲介するGPR120Gを魚油が活性化
タンパク質共役受容体GPR120Gとは」
https://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=163
*ATP:アデノシン三リン酸(adenosine triphosphate:ATP)
細胞内にはエネルギーの元となるアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate:ATP)が高濃度で存在。
このATPは様々な生理的な刺激や傷害などによって細胞外へ放出されます。
これが細胞外ヌクレオチドですが、細胞表面に存在する*ヌクレオチド受容体(P2受容体)に
結合する事によって細胞間情報伝達物質として機能します。
ATP(アデノシン三リン酸)の他にもADP(アデノシン二リン酸),
UTP(ウリジン三リン酸), UDP(ウリジン二リン酸)など様々な細胞外*ヌクレオチドが
P2受容体を介して情報を伝達します。
エネルギー源となるエーティーピー(ATP:アデノシン三リン酸)とは」
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=147
*ウリジン三リン酸(Uridine triphosphate:UDP)
ウリジン二リン酸は P2Y6受容体を選択的に活性化させ、
点眼すると眼圧が低下することが知られており、緑内障治療に用いられる点眼薬があります。
*受容体(receptor)
広い意味で器官、分子を指す場合がありますが、
狭義では細胞膜上で特定物質を細胞内に受け入れる鍵穴ともいえる蛋白質

3. 緑内障の発症と進行を制御する食生活
二つの論文から理解できる食生活は細胞内のミトコンドリアの活性化によって
ATP(アデノシン三リン酸)を活性化すること。
ATPの不活性化の原因には活性酸素の発生が知られています
対策は発生する活性酸素を制御できる量の抗酸化物質の摂取と眼の機能を
正常に保つ天然ビタミンAなど、自然界からの栄養素摂取です。
抗酸化物質の機能は母体の動物、植物により様々。
どの動植物も多かれ少なかれ抗酸化物を持つといわれますが、どれもが細胞内に入りこみ
活性化出来るわけではありません。
人間が活性酸素過剰を排除するために抗酸化力を効率よく発揮させるには、
無数の抗酸化物質より、適応力のあるタイプ(生体利用率の高い)を選択することが重要です。

抗酸化物質が活性酸素を除去する能力は計測器の数値より疫学的な評価が重要。
疫学的結果とは、実際に人間が摂取した後に生体が抗酸化能力を利用できる度合(生体利用率)。
合成された物質やアントシアニン類を単体で取りだし抗酸化力を謳うサプリメントではなく、
果物、野菜など、食材そのものを摂取した時の生体利用率。
抗酸化物質イコール抗酸化力ではありません。
実体験に加え、抗酸化率を表すマーカーとなる8OHdGの高低などで補助的な比較判断を
すればより確信が得られるでしょう。

*ブドウの抗酸化能力はブルーベリーなど他の赤黒色果実に較べても生体利用率が高く、
活性酸素除去に体内で大きな働きをする特性を持つことが疫学的に知られています。
長寿と食生活の疫学研究で著名な京都大学の家森博士は赤ブドウを推奨食材のトップ群に挙げており、
米国農務省の児童、成人の推奨食生活プラン(Arkansas Child and Adult Care Food Program :CACFP)
も赤ブドウ・ポリフェノールの抗酸化成分が、高度な生体利用特性を持つことの研究成果を得ており、
そのプランに組み込んでいます。

「天然ブドウの抗酸化成分が網膜構造を護る:
萎縮型黄班変性症も酸化ストレスによる損傷」
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=486
「アサイーナ(アサイー・ベリー)の抗酸化作用
ビルベリーを凌ぐ(しのぐ)最強の抗酸化フルーツ」
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=364
ブルーベリーの5倍以上といわれるアントシアニン・ポリフェノールの
抗酸化力が眼の健康維持に期待できます。

*8OHdG(8­ヒドロキシデオキシグアノシン)とは
8OHdGは遺伝子異常のマーカーとなっていますが、8OHdGの数値が高いことは、
遺伝子が傷つけられていることを意味します。
紫外線暴露過多が知られていますが、生活習慣病や精神的ストレス、肥満でも数値が高くなります。
「紫外線の8OHdG値増加作用と亜鉛(ジンク)による修復」
https://botanical.jp/library_view.php?library_num=571
ジンクは眼の健康に必須なビタミンAの産生になくてはならないミネラルとして知られています。


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「ブドウ・レスベラトロールは体細胞内でガン阻害物質に変化する」
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