健康と食品の解説
長寿社会の勝ち組となるには(その9):
赤紫色素は美容と長寿の最強抗酸化ポリフェノール(5)
赤ブドウと桑の実
2016/04/22
あまり周知されていないことですが赤黒ブドウの効能は長寿や美容、生活習慣病や
認知症予防だけではありません。
加齢黄班変性症など網膜疾患の予防、改善に素晴らしい働きをします。
赤黒ブドウは豊富なアントシアニンやレスベラトロールのスチルベノイド以外に
カロチノイドのルテインも含有しますが、ルテインだけが理由ではありません。
ある比較研究では赤黒ブドウそのものを摂食すると、ルテイン単独摂食に較べて
はるかに網膜機能が改善されました。

         チリ産レッドグローブ(RedGlobe大粒の種アリ)

日本の晩冬から初春は南半球の秋。南米ではブドウの収穫期。
日本でも通年、南米産のブドウがスーパーで目につくようになりました。
高価なオーストラリア産の小粒ぶどう種に較べて南米産は、はるかにお買い得。
南米の赤黒ブドウは価格と味覚のバランスが優れたスーパー健康食材。
健康に寄与する果実でも王様中の大王。毎日でも食したい果物です。
冬から春は日本のブドウ農家の収穫農閑期.
保護関税が3月までは安くなり、在庫を持つディスカウントスーパーの店頭では
4月でもチリ産赤ブドウの大粒レッドグローブが500gで税込270円前後。
会員制のコストコがある地域ではまとめ買いでもう少し安くなります。
カリフォルニア大学で開発された品種ですから秋にはカリフォルニア産が供給されますが
関税撤廃までは(3月から)関税分が高くなります。
「スーパー健康食材の黒ブドウが高すぎる本当の理由:
黒ブドウの内外価格差を最新取材」
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=447

レッドグローブの春物は種アリの大粒。とても甘く美味しいブドウです。
うす皮ははがれにくいために皮ごと食しますが、種や皮はレスベラトロール、
アントシアニンなどポリフェノールやルテインなどカロチノイド類が豊富です。
(熱湯、冷水による皮の湯剥ぎをすることはお薦めできません)



1.赤ブドウ・ポリフェノールの特異性はスチルべノイドの存在
2.  急増する網膜損傷に特効を示す赤ブドウ・ポリフェノール
3.  赤ブドウポリフェノールとルテイン単独成分の比較実験
4.  古樹ブドウ葉のレスベラトロール
5.  日本の伝統ブドウは山葡萄(やまぶどう)
6.  もっと普及すべきなのが桑の実


1.  赤ブドウ・ポリフェノールの特異性はスチルべノイドの存在
赤ブドウは、これまでご紹介してきたポリフェノールのアントシアニン豊富な食材と比較して
はるかに勝る栄養素があふれています。
1600種類を超えるポリフェノール、カロチノイド類に加えほとんどの植物性食材には
無いスチルべノイド(Stilbenoid)がたっぷり。
スチルべノイドの細胞内小器官ミトコンドリア活性化作用は老化、生活習慣病、
認知症など様々な健康阻害の防止に効果があることが疫学的に知られています。
加えて抗炎症作用(anti-inflammatory)、抗突然変異誘発物質作用(antimutagenic properties)、
抗放射線作用(against the harmful effects of radiation)も(動物実験段階
ですが)確認されており、このような食用植物はこれまでのところ他にはほとんどありません。

2.  急増する網膜損傷に特効を示す赤ブドウ・ポリフェノール
強い紫外線とITの普及が進んでいることで、眼を損傷する人の数は老若男女を問わず
急増中といわれます。
視力は強いストレスによる酸化によって網膜が損なわれて低下しますが
その健康維持には抗酸化物質が必須。
眼の抗酸化物質はカロチノイドのルテインが有名ですが、赤ブドウ成分には
そのルテインばかりでなく強い抗酸化作用を持つアントシアニンと
スチルべノイド(Stilbenoid)が加わっています。
赤ブドウには、ビタミンEの50倍、ビタミンCの20倍の抗酸化能があり、
ルテイン単体を摂取することに較べ大幅な網膜保護効果があります。
これまでご紹介したアントシアニン類を多く含む食品でも、赤黒ぶどう並の抗酸化能レベルを
得るためには、量をより多く摂取しなければ対等になりません。

3.  赤ブドウポリフェノールとルテイン単独成分の比較実験
ある実験では加齢やそれに伴う萎縮型黄班変性(macular degeneration)による失明から
網膜を護るには赤ブドウのポリフェノールが
カロチノイド系(ルテイン:lutein)単独よりはるかに有益でした。
実験は下記三つのグループに分けて飼育された動物の遺伝子変異を比較しました。
赤ブドウで飼育した動物の網膜はルテイン単独で飼育された動物に較べ3倍以上の
活性が見られたそうです。

単独のルテインを与えて飼育、
赤ブドウそのもので飼育、
普通の食物のみで飼育



4.  古樹ブドウ葉のレスベラトロール

ブドウ葉は保健用植物(phytosante)としてギリシャ、フランス、イタリア、トルコ、
ブルガリアでは野菜同様に食べられてきました。
ギリシャには古くからブドウ葉でくるんだ
挽肉料理ドルマデス(ドルマ:Dolmathakia)が、
ブルガリアにも同様のサルミ(Sarmi)があります。
長寿の赤ブドウ樹木(ヴィエイユ・ヴィーニュ:Vieille Vignes)のブドウ葉、種、皮などは
抗酸化ポリフェノールが特に豊富。
レスベラトロールをFeuille de Resvératrol(レスベラトロールの葉)から
自然に摂取するのがフランス人の知恵。
Vigne rougeと呼んで愛用しています。
ギリシャでは紀元前15世紀、フランスでは紀元前6世紀には既にぶどう古樹の葉
Vigne rougeの存在が確認されているそうで、
王侯貴族がアンチエージング、循環器疾患の予後など医療用植物(Plantes M?dicinale)として
愛用していました。

ブドウ古樹の葉を健康飲料や強壮、増血、利尿、寝汗、婦人病、心臓血管など循環器疾患、
消化器疾患の伝統医療法として一般庶民が用いるようになったのは17世紀ごろからです。
Resvigne Rouge® (レスヴィーヌ・ルージュ®)は
フランスでは医療用植物(Plantes Mēdicinale)。
薬局では循環器の健康維持と長寿と美容の生薬として売られ
カプセルやアンプル使用の製品も売られています。

5.  日本の伝統ブドウは山葡萄(やまぶどう)

糖度が低く、ポリフェノールのタンニンが多いために収穫を送らせて貴腐葡萄化
させていました.
 
       写真上は山形県のやまぶどう専門ワイナリー(農業組合)のワイン畑

日本では野生の山葡萄(やまぶどう:Vitis coignetiae)が古くから食されてきましたが
ワイン用の栽培種として改良されたのは60年代ごろから.
北海道、岩手、山形などで少量が生産されていますがワインは売れなかったようです.
野生種が原点だけにブドウ・ポリフェノールが格別に豊富.健康面からは秀逸な品種.
一般の食用(テーブル)ブドウに較べれば数倍の機能成分を含有しています。
ただし近年はカベルネソービ二オンとの交配種を主流にしているようですので山葡萄の
特性は相当部分失われているでしょう。
少量生産のために純粋種は価格が非常に高いのが難点。720mlで2700-3000円はします。
これまで以上に栽培面積を増やし、集約化によるコストダウンを図り、
純粋種をもっと普及させたい健康食材です。
甘味が少ないために糖分添加でジュースやジャムなど加工食品が売られてきましたが
ブルーベリー同様に価格がネックとなっていたようです。.
近年は組合の栽培農家を増やしてワインに力を入れていますが、純粋種は少量。
お酒に弱い日本人にはタンニンが強すぎるために甘味を強くしないと売れないそうです。
 
        鶴岡市旧朝日村の組合が小規模生産する山葡萄「月山ワイン」.


6.  もっと普及すべきなのが桑の実

      山桑(やまぐわ)の果実(Morus australis:Chinese mulberry)

桑(くわ)は総称で英語ではマルベリー (Mulberry)。
いろいろな種類や交雑種がありますが、日本では
養蚕(ようさん)のための「やまぐわ」が多いといわれます。
桑の実は生食されることが少ない果実ですが、アントシアニン類が豊富.
加工食品としてジャムやジュースが作られますが、ブルーベリーに較べれば
はるかに安価で近づきやすい果実.もっと食されてよいと思います。
欧州はベリー類を愛好しますが桑の実もその一つ。
加えて桑の実は糖尿病などに医療効果が大きいことでも知られています。
100年ほど前までの日本は絹織物が世界的に著名. 養蚕(ようさん)が盛んでした。
蚕(かいこ)の餌となったのが桑。
今でもあちらこちらに桑畑の名残があります。
元来、早い成長力と強い繁殖力がありますから品種改良を続けて山葡萄とともに
健康食材として普及させたい果実です。
(写真上下:湘南産)
 
(写真下)南ベトナムの高原ではフランス統治時代の名残で、イチゴとともに
桑の実の愛好者がたくさんいます。
ダラットではブドウに桑の実を加えたワインが名物となっています。

 
    ベトナムのダラットワインは桑の実をブレンドしたユニークなワイン

生鮮食材研究家:しらす・さぶろう

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