精神神経安定、消細胞炎症、鎮痛に寄与する(改訂版)
脂肪酸バランス改善が決め手 2. 心的外傷後ストレス障害治療(PTSD)に魚油のオメガ3が有効 3. オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)は最も酸化し易い不飽和脂肪酸:過酸化脂質は凶器 4.米国のオピオイド危機を連想させる大麻CBD (カンナビディオール)の拡がり 5. 厚生労働省よりの警告 オメガ3系(EPA/DHA)多価不飽和脂肪酸(Polyunsaturated fatty acids:PUFA)に 鬱病(うつ)防止などの精神安定効果があることはかねてより、多数の研究報告があります。 しかしながら疫学的、経験的に理解されているオメガ3の効能も、 その作用機序が徐々に明らかになりつつあるのは最近のことです。 1.オメガ3が寄与する内因性カンナビノイド(endocannabinoid:eCB)の働き: 脂肪酸バランス改善が決め手 オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)が精神的行動異常をコントロールするメカニズムに関しては、 ボルドーの*フランス国立衛生医学研究所(INSERM)の ラフォルカデ(Lafourcade)博士らの研究が先行。 オメガ3欠乏食を与えたマウスによって内因性カンナビノイド(endocannabinoid:eCB)が 脳のシナプス近傍で局所的に蓄積することを確認しています。 カンナビノイドはマリファナ活性成分、類似体の総称で、大麻の学名(Cannabis sativa)に由来。 カンナビノイドの中枢神経を刺激する幻覚、興奮成分は類似物質が人体にあることが知られており、 内因性カンナビノイド(endocannabinoid)と呼ばれます。 カンナビノイドは脳の発達や精神神経の興奮、沈静における脳内作用の研究で、 近年、最も注目されている物質。 この研究で注目されるのは食生活における多価不飽和脂肪酸(Polyunsaturated fatty acids:PUFA)の 摂取比率が体内での脂肪酸組成比に大きく影響することを立証していること。 いわゆるn-3系(オメガ3)、n-6系(オメガ6)、n-9系(オメガ9)の摂取バランスです。 https://www.nogibota.com/archives/1212 「リノール酸(オメガ6)を過剰摂取する米国民: 米国厚生省ラムスデン博士が細胞炎症の危険性を警告」 ラフォルカデ(Lafourcade)博士らは オメガ3とオメガ6の比率が1:1の伝統食が、最近では1:15近くまでバランスが崩れている。 これによりオメガ3の機能が損なわれ、内因カンナビノイド(endocannabinoid:eCB)の 神経コントロール機能を阻害していると指摘しています。 近代食は青魚などのオメガ3摂食が減じ、サラダオイルに代表される リノール酸食用油(オメガ6)を使用する加工食品が溢れて脂肪酸摂取バランスが 大きく崩れています。 「オメガ3栄養素の欠如は内因性カンナビノイドの機能を阻害する: Nutritional omega-3 deficiency abolishes endocannabinoid-mediated neuronal functions」 ラフォルカデ(Lafourcade)博士ら、ボルドー国立衛生医学研究所グループは、 恐怖などに関与するといわれる扁桃体(amygdala)における 内因カンナビノイド(endocannabinoid:eCB)の多様な働きについて論文を発表しています。 「扁桃体における内因性カンナビノイドの多様な働き: Polymodal activation of the endocannabinoid system in the extended amygdala」. *Physiopathology of Synaptic Plasticity Group Neurocentre Magendie Bordeaux Cedex France. (注)2008年に独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)と国立大学法人群馬大学が、 脳内マリファナ類似物質の内因性カンナビノイド(endocannabinoid)が 発達期の脳で興奮性神経伝達を抑制する作用のあることを発見し注目されました。 発達脳における抑制の仕組みの解明は、子供の脳神経の健全な成長に非常に重要。 青さかなの魚油が「頭の良くなるオメガ3」と言われる根拠になっています。 2.心的外傷後ストレス障害治療(PTSD)にオメガ3が有効 様々な恐怖体験により発症する心的外傷後ストレス障害(Post-Traumatic Stress Disorder:PTSD)。 交通事故の加害者、被害者に多く見られますが、2011年のように大震災、原発事故など 大事件が多かった年は急増が予想され、治療とメンタルケアの必要性が高まっています。 第107回日本精神神経学会において国立精神・神経医療研究センター室長および 国立病院機構災害医療センター精神科の松岡豊博士は魚油のオメガ3脂肪酸(EPA/DHA)により PTSDの精神的苦痛が緩和される可能性を示唆しました。 交通事故により心的外傷後ストレス障害を発症した患者に魚油のオメガ3カプセルを投与。 12週間観察することにより、マーカーとなる血清中の 脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor:BDNF)値が次第に上昇することを確認。 脳由来神経栄養因子(BDNF)はバーゼル大学(スイス:University of Basel)の アレン博士(Dr. Yves-Alain Barde) が1982年ブタの脳から生成したペプチド。 心的外傷後ストレス障害(PTSD)により減少することが知られています。 松岡博士らの調査は少数例ですが、身体外傷患者140例を対象に,魚油のオメガ3を投与。 血清中BDNF値の変化による心的外傷後ストレス障害(PTSD)の精神的苦痛緩和に関する研究を続行中。 オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)のPTSD治療に期待しています。 松岡博士らは動物による実験研究で, オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)が心的外傷後ストレス障害に 密接な関係を持つといわれる海馬の神経新生を亢進し,BDNFが増加することも確認しています。 これは2009年に富山大学大学院の井ノ口馨氏がセル(Cell)誌に発表した論文を確認したもの。 海馬は記憶や情報整理をする脳中器官で、細胞分裂を繰り返す神経細胞が集積しています。 3.オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)は最も酸化し易い不飽和脂肪酸:過酸化脂質は凶器 オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)は多価不飽和脂肪酸(Polyunsaturated fatty acids:PUFA)の中で 最も酸化し易い脂肪酸。 過酸化脂質、トランス脂肪酸は細胞膜の脂質バランスを悪化させ、動脈硬化、 神経伝達物質阻害の原因となります。 新鮮な魚油摂取が重要な選択といわれる所以です。 お子様の「頭が良くなるサプリメント」が逆効果にならないように、ご注意。 新鮮な魚は良い香りがします。いやな臭いは過酸化脂質。 しょうが、ネギ、ニンニク、ハーブ、梅干は味を引き立てるスパイス。 料理教室でこれ等を臭いを消すためのスパイスと説明する調理人が居ますが、それは邪道。 新鮮ならばいやな臭いはありません。 「老化、癌を招く油脂過剰症は過酸化脂質(ペルオキシド)の過剰摂取」 http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=429 4.米国のオピオイド危機を連想させる大麻CBD (カンナビディオール)の拡がり 2019年ごろより、合成や天然のカンナビノイドを含有したCBDオイルなどの CBD (カンナビディオール:cannabidiol)サプリメントが 当初は抗鬱病(うつ)、鎮痛用、睡眠導入目的として販売されました。 ところがCBDの拡がりは医療用途でなくセックスやスポーツなど、享楽用(recreational)に激増し 内因性カンナビノイドの体内生成が阻害される(?)ことも含めて問題視されています。 *内因性カンナビノイドの体内生成阻害についてはWHOなどが調査研究中. アメリカは芥子(けし)由来のオピオイド過剰摂取による「オピオイド危機」により 20世紀末頃から2015年頃まで、20年間で77万7,000人の死者を出した経験があります。 その後の取り締まり強化とともに、大麻由来のカンナビディオールを オピオイド同様に享楽用に使用する層が拡がり、過剰摂取を危惧する新たな社会問題が 発生しています。 オピオイドにも内因性、外因性があり、享楽用(recreational)、がんによる様々な疼痛、 陣痛、物理的障害による鎮痛用などに、オピオイドを過剰摂取する人々が 内因性オピオイドの機能不全、腎臓疾患などを含めて重篤な副作用発症に 悩まされています。 全米を震撼させた麻薬系鎮痛剤による オピオイド危機とその背景(前編) https://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=663 全米を震撼させた麻薬系鎮痛剤によるオピオイド危機とその背景 (後編:日本の実情) https://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=665 5.厚生労働省よりの警告 以下「」は厚生労働省のニューズレリース 「米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は いかなる医療用途にも大麻植物を承認していません。」 「マリファナとは、相当量の テトラヒドロカンナビノール(tetrahydrocannabinol:THC)を含有する 植物(Cannabis sativa)の一部または製品を意味します」 「FDAは、THCまたはCBD (cannabidiol)を含む製品は サプリメントとしても合法的に販売できないと判断しています」 「FDAはTHCを含む電子タバコ製品も使用しないよう一般の人々に 警告しています。 このタイプの製品は、電子タバコの利用に関連する 重篤な肺損傷の報告症例の多くに関与していています」 日本ではTHC含有量が0.3%以下のCBDは合法とされますが、 違法な含有量をチェックするために麻薬取締部では下記の案内をしており、 すでに国内で販売されているものも違法が目立つといわれ、抜き打ちに チェックしています。 茎などはCBDが主体でありTHCが微量といわれてますが、生産地、個体によって 構成は一定ではありません。 THCが規定より多い、また意図的に添加されている製品が数多く売られているからです。 麻薬取締部 「大麻草の成熟した茎や種子のみから抽出・製造されたCBD(カンナビジオール)を 含有する製品については、大麻取締法上の「大麻」に該当しませんが、 当該製品を輸入する前に、麻薬取締部においてその該否を確認しております」 初版:2013/07/12 改定:2017/09/22 改定:2022/09/10 (広告) ノギボタニカルのサプリメントはトランス脂肪酸フリーの天然由来素材. 食材として数百年以上歴史のある天然健康素材を選んでいます. 永いご使用に耐える安全性を重視しているからです。 細胞やホルモン造りに欠かせない脂肪酸のラインアップに特徴があります. 詳しくはホームページをご覧ください. (広告) https://www.botanical.jp/item_view.php?item_number=36 https://www.botanical.jp/item_view.php?item_number=1011
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