ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)
​第百十五話:「コロナショックの中、世界の実態を探る」
2020/07/18
近世の産業革命は工業化社会の発展、それに伴っての商業・サービス産業の
進化を生み、資本主義の普及が金融革命につながったのが、
19世紀から20世紀の世界でした。
共産主義の権化、ソ連の崩壊・東西冷戦の終焉と、ほぼリンクして登場したのが、
IT機器の普及が惹起した「通信情報革命」で、世紀末から今世紀にかけて、
ヒト・モノ・カネの国境越えが日常化したのがグローバル化という結果だったのです。
 
この潮流に上手く乗ったのが、共産党独裁統治機構は残しながら、
国家資本主義と香港という“金融呼吸器官”を活用することによって、
自由経済制度の“良いところ取り”に徹して、経済力をつけ、国連まで差配する
隠然たる国際干渉力まで付けたのが中国でした。
 
ところが、北京政府のコロナ対策が世界の顰蹙(ひんしゅく)を受け、
次いで香港の民主主義に歯止めをかける安保法を施行するに及んで、
愈々(いよいよ)世界の大半諸国を敵に回してしまうという外交的大失政を
犯してしまったようです。
中国の失策に留まるどころか、コロナパンデミックは、グローバル化という
国境開放を行き成り国境閉鎖への連鎖を余儀なくして、ナショナリズムへの
回帰を呼び起こす源流をもたらしてしまったようです。
 
人の往来を制約することが、産業活動に歯止めをかけてしまう波及的悪影響を来し、
結果的に生産と物流にまでブレーキがかかり、工業化・商業化社会に
(一部に陽の当たる産業を残しつつも)多くの日陰を与えてしまっています。
もちろん、時が過ぎれば、優勝劣敗に勝ち残った適者生存世界が待ち受けていることは、
疑いの余地はないのですが、ひょっとするとコロナ後には、
人々の生活の原点回帰が見直される契機となりそうな予感が致します。
 
人類の自然破壊とか地球温暖化の反省を通じて、世界的危機感の高まりから、
国連のSDGs=持続可能な開発目標=「持続性社会の達成目標」が
打ち出されている中、これ以上の先端産業革命のみを必死に追求するのではなく、
その反動として、人類の回帰志向が注目されるようになると、
限りなく産業の原点回帰が起こるのではなかろうかと推量されます。
 
衣食住の基幹産業(食材/食糧、織物、安全・安心居住環境など)に連なる
農林水産・林業、繊維(化繊も)、土木、大工、左官業等々の見直しと
現代方式による進化が脚光を浴びるようになるのではないでしょうか。
衣食住関連付帯産業にしても、小手先の薄利多売商品・サービスが淘汰され、
付加価値の高い”思いやり良品“が生き残るのだろうかと思量します。
 
安倍首相が記者会見で「コロナの時代」と公言したように、
新型コロナは暫く続くだろうから、負けずに共存してゆく他ない訳で、
経済政策の抜本的転換が必須となるでしょう。
その肝は、積極的財政政策と金融政策の協調で、経済活動を冷房ないし
冷凍するにしても「客が来なくても倒産しない、仕事がなくても解雇されない」ように
“経済死”だけは絶対回避しなければなりません。
 
自粛の危機を支える政策には、多額の予算が必要で、その調達は
国債の発行に行き着きます。
実は「国債とは、日本人が政府を通じて、現在と近未来の苦境を乗り越えるために
生み出す”資産“」と捉えるべき(私見)。
 
リーマンショックのような不況時には、米FRBや欧州中央銀行がカネを
刷り続けたように、世界中で政府国債が発行され、各国中央銀行が買い続けられたとき、
当時の我が国が超円高(1$=70円)を招き輸出産業が大打撃を受け、
その後のデフレ大不況を招いたことこそ、想起すべきなのです。
 
その後の、アベノミクスこと、黒田日銀総裁が上場投資信託の買い入れ枠を
倍増させ、無制限の国債購入を宣言、やっと日本経済の失速を止めたことからも、
カネ刷り競争を避けてはいけないのです(私見)。
 
コロナ騒動の裏で、ファーウェイが米国の安保を揺るがす事件が起き、
かろうじて排除されたようです。
今般、5G通信機器受け入れに傾いていた英国も、
遅ればせながらファーウェイ排除に踏み切りました。
我が国の安保対策の遅れが気がかりです。
 
今般の武漢ウイルス発生に関して、中国がWTOまで巻き込んで
発生源の隠蔽は、前回のSARSが中国の希少動物由来と内外が認めたのに
比べると、明らかに、それなりの事由があったようです。
 
去る五月、米ピッツバーグ大教授で新型ウイルスとワクチンの研究者・劉兵氏が
自宅で顔見知りの中国人に射殺され、その容疑者も車中で死亡、
まるでケネディ暗殺劇の再演とも相通じる殺人連鎖事件でした。
 
また、武漢ウイルス研究院の石正麗女史が、コロナウイルスが原因で
中国が震源地になる可能性が高いとの予告論文をジャーナル誌に
数年前寄稿していました。
 
コロナ騒動は、後ろ向きに捉えてしまうと苦難の時が
去らないことになりかねませんが、ここは前向きの希望をもって、
新しい世界に順応し、日本大改革の好機と考えたいものです。
 
その第一は家庭の価値を再発見すること、親子関係と子育て改善とか、
家庭同士や親族間の付き合いの見直しから、欠点だらけの婚活パーティに代わって、
お見合い結婚が復活すれば少子化の歯止め効果も期待できそうです。
 
第二にリモートワークの普及が、東京の過密対策となり、企業の地方分散とか
首都機能一部移転などが可能になるでしょう。
 
第三が教育界の刷新、学区・学期の見直しと、デジタル教育の加速に
期待したいものです。
 
第四は、コロナ死者の少なさから日本人の生活様式の再評価と、
伝統文化を含む国家的信用(中国に代わるアジアの真のリーダー役が期待される)を
高めることにつなげたい次第です。
 
第五として提案したいのが、この機会にマイナンバーカードの
強化徹底(百%目標)を進めることで、健康保険、福祉制度活用、
国民年金、企業年金、住民票、銀行口座、納税、還付入金、等々を
紐付けすることで、国と地方行政手続きも合理化・迅速化されるし、
何よりも、国民自身(外国人長期滞在者含む)が
生活の多様な利便性を獲得できるわけです(私見)。
 
習近平主席が内政固めの為に手を打った香港民主派弾圧目的の
国家安保新法が、世界の顰蹙(ひんしゅく)を呼び、
「手負いの暴走」「東アジアの病人」「世界の迷惑」などの誹謗(ひぼう)を
浴びるに至り、先年迄の米中経済戦は、一挙に様変わりして
今や「世界の対中国新冷戦」の様相を呈しています。
 
南シナ海では、マレーシア、インドネシア、ベトナムの艦船の出動事態が起こり、
南太平洋ではオーストラリア海軍が対中警戒を強化、インド国境での二度にわたる
中印両軍の衝突などが続発し、米海軍が西太平洋・インド洋へ大型艦船や
戦略爆撃機を移動させる事態となっています。
尖閣諸島への中国公船の領海侵犯は月間百隻を上回り、年初から連続しているにも
拘らず、(自衛隊の排除活動も限界なのに)我が国の政府と外務省・防衛省による
対応は生ぬるいのではないかと、危惧を覚えます。
 
「東亜病夫」とは、元々、19世紀の清朝末期の悪政跋扈と人心荒廃を嘆いた
中国知識人による自虐にして、歴史的国辱の響きを持つ言葉でしたが、
これを今や欧米主要メディアが「中国は正真正銘の東アジアの病人だ」と論評され
逆鱗に触れるどころか、習政権中枢指導幹部全員にとっては、
大変“重たい四文字”と言えましょう。
 
四十数年前、米中国交正常化を成し遂げたニクソン・キッシンジャー外交でしたが、
そのニクソン元大統領が25年前、死去の前につぶやいた
「我々は、アジアにフランケンシュタインを生み出してしまったのではないか」という
反省の弁が、現在は超党派で米国に広がる「嫌中感情」につながるとともに、
北京政府が、今現在は世界の多数派から封じ込めの対象にもなりつつある
現実に目を見張らざるを得ません。
 
既述の“外憂”に立ち向かう中国共産党に“内患”の「習近平降ろし」という
権力闘争が激しさを増しているようです。
 
五月末の全人代後に、李が習に向け、立て続けに放った「三本の矢」は、
習の貧困解消策が実現不可能、
同じく露天商排除が経済活性化を妨げている、
習失政に起因する外資系企業の撤退が2億人の失業を生み、
中国経済壊滅の打撃となっている、
と対外機密を公表することで、いずれも習の失点をあげつらう挑戦だそうです。
 
今般のコロナ感染症の世界的大流行は、既に行き詰まり現象を露呈していた
過度なグローバリズムの新自由主義や市場中心主義の想定を
真っ向から否定する数々のマイナス結果を齎した(もたらした)と考えます。
 
第一にグローバルな金融経済が不安定化し政府の財政関与を強める
ケインズ主義への回帰が始まった、
第二は地球儀レベルの過当競争が各国内外に、所得格差、資産格差を
生み国民経済を動揺させた、
第三に保護貿易等の自国中心主義を招いた、
第四はサプライチェーンの過度な中国依存拡大からの脱却に行き着いた、
第五にEUの実験に略失敗が見えた、
第六は諸国家で医療、福祉、教育、地域コミュニティ等の公共的社会基盤が弱体化した、
第七にIT利権と普及に社会や政治が振り回されるようになった、
第八に途上国の一角だった中国の急成長と横暴が、先進国の成長を阻害した、
ことで、グローバリズムの問題を顕在化させ、深刻な次元へと推し進めてしまった訳です。
 
この岐路に立って、再びグローバリズムに回帰すべきだという考えは、
途上国など極少数派にすぎず、世界の多くは、このショックを契機に
大きな社会転換を志向すべきだという訴求が強まっています。
それは、保健・医療・福祉・教育・防災・人の絆・地域、等々の「公共的社会基盤」の
強靭化を高めるべき目標として、安定と協調重視の「公共的“新”資本主義」
「国民的資本主義」といったものであって欲しいと思量いたします。
(このコラムはノギボタニカルに寄稿いただいている
 ケン幸田氏独自の世界情勢分析と、ご提言要旨のご紹介です。
 原文を短縮してあります:編集部) 
 
 
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